介護のニュース

2026.08.04

なぜ需要はあるのに?デイサービス・介護事業所の「過去最多の倒産」が示す、現場のリアルな三重苦

高齢化社会が進み、「介護のニーズ」は年々高まる一方ですよね。街を歩けばデイサービスの送迎車を毎日のように見かけます。

しかし、そんな一見 “需要が高くて安泰” に見える介護業界の裏側で、いま非常にショッキングな事態が起きているのをご存知でしょうか?

なんと、2026年1〜5月におけるデイサービス(通所介護)の倒産件数が27件に達し、上半期としての過去最多を更新してしまいました。業界全体を見渡しても、経営の危機に瀕している事業所が急増しています。

「お年寄りは増えているのになぜ潰れるの?」 「現場では一体何が起きているの?」

今回は、この深刻な「介護倒産ドミノ」の背景にある、現場のリアルな三重苦について解説します。

理由①:容赦なく襲いかかる「物価・光熱費の高騰」

介護事業所、特にデイサービスにおいて、いま最も経営を圧迫しているのが「物価高」です。

  • 送迎にかかるガソリン代の負担増

  • 施設を快適に保つための電気代・ガス代の高騰

  • 利用者様に提供する給食(食材費)の値上がり

介護報酬という「国が決めた価格」の中でやりくりしている介護事業所は、一般の企業のように「原材料が上がったから、明日からサービスの価格を2割上げます」といった柔軟な値上げができません。コストだけが一方的に膨らみ、利益が削り取られているのが現状です。

理由②:最低賃金引き上げに伴う「人件費の爆発」

他産業の賃上げや最低賃金の引き上げに伴い、介護業界もスタッフを確保するために給与水準を上げざるを得なくなっています。

経営において人件費の割合(人件費率)がもともと高い介護ビジネスにとって、この負担増は致命傷になりかねません。今月(2026年6月)から始まった臨時改定による加算などで一部はカバーできるものの、それ以上のスピードで固定費が上昇し、キャッシュアウトしてしまう事業所が後を絶たないのです。

理由③:利用者を断らざるを得ない「深刻な人手不足」

「利用したいという高齢者はたくさんいる。なのに、スタッフが足りないから新規の受け入れができない」

これが、いま多くのデイサービスが抱える最大のジレンマです。 国が定める配置基準(スタッフの人数ルール)を満たせなくなると、事業所は減算(ペナルティとして報酬が減る)を受けるか、最悪の場合は営業を縮小せざるを得ません。

ベッドやフロアには空きがあるのに、動かす人がいないために売上が上がらない――。この「人手不足倒産」こそが、現在の過去最多を叩き出している元凶です。

【これからの視点】潰れるデイサービスと「生き残る施設」の境界線

非常に厳しい時代を迎えていますが、すべての事業所が倒産しているわけではありません。この大逆風の中でも、業績を伸ばし、地域に愛され続けている「生き残る施設」には共通点があります。

  1. 他社にはない「尖った強み」がある 「認知症ケアに圧倒的に強い」「本格的なリハビリ機器が充実している」「趣味活動のクオリティが劇的に高い」など、ケアマネジャーから“指名”される明確な特徴を持っています。

  2. デジタル・ICT活用で徹底的に効率化している 手書きの書類や無駄な申し送り時間を無くし、インカムや介護ソフトを導入してスタッフの業務負担を軽減。少ない人数でも笑顔で質の高いケアができる環境を作っています。

  3. スタッフの「働きやすさ」を最優先している 給与面だけでなく、有休の取りやすさや人間関係の風通しの良さを整え、「離職させない(=採用コストをかけない)」好循環を作っています。

まとめ:ただの「人ごと」ではない。地域で支え合う段階へ

デイサービスの倒産は、そこで働くスタッフの雇用を奪うだけでなく、住み慣れた地域で暮らす高齢者や、そのご家族の生活をも一瞬で破綻させてしまう深刻な問題です。

今月からはじまった臨時改定による賃上げの波が、どこまで現場の救いになるのか。そして、地域のケアマネジャーや関係者が、どうやって優良な事業所を守り、連携していけるのか。まさに今、介護業界は大きな正念場を迎えています。

皆さんの周りの事業所では、物価高や人手不足の影響をどのように工夫して乗り越えていますか?

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