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2026.09.10

サ高住と住宅型有料老人ホーム、結局どちらがいいの?|「介護は併設の事業所で」と言われたときに

「サービス付き高齢者向け住宅と、住宅型有料老人ホーム。パンフレットを並べてみたのですが、違いがよく分かりません」

このご相談を、私は本当によく受けます。

実際に見学へ行っても、間取りも雰囲気もよく似ています。月々の金額も、そこまで大きくは変わりません。

そして最後に、どちらでもこう言われます。

「介護が必要になったら、併設の事業所をご利用いただきます」

この一言を、そのまま受け取っていいのかどうか。

私も最初は、そういうものだと思っていました。今日はそこを書いてみたいと思います。

いちばん大きな違いは、部屋ではなく契約のかたち

先に結論めいたことを言うと、この2つは「建物の性格」が違います。

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は、高齢者住まい法という法律にもとづく、登録された賃貸住宅です。

住宅なので、契約は原則として賃貸借契約になります。アパートを借りるのと同じ形です。

一方の住宅型有料老人ホームは、老人福祉法でいう有料老人ホームのひとつです。

こちらは利用権方式という契約が多く、入居時にまとまった前払金を求められることがあります。

同じように見えて、出発点が「住宅」か「ホーム」かで分かれている、と考えると整理しやすいと思います。

サ高住には、決められた最低ラインがある

サ高住は登録制度なので、満たすべき基準がはっきり決まっています。

【広さ】原則25平方メートル以上(共用部分が充実している場合は18平方メートル以上でも可)

【設備】段差のない床、手すり、廊下や出入口の幅などのバリアフリー

【サービス】状況把握(安否確認)と生活相談を1日1回以上

【契約】書面で結ぶ/権利金は禁止/入院や心身の変化を理由にした一方的な契約解除は禁止

とくに最後の一行は、覚えておいて損がありません。

「入院したから出てください」が通らない仕組みになっている、ということです。

住宅型有料老人ホームには、ここまで一律の基準はありません。そのぶん、施設ごとの差が大きくなります。

広い、狭い、手厚い、そうでもない。どちらが良いという話ではなく、確かめる項目が増える、という意味です。

どちらも、介護は「外から」入ってくる

ここが、いちばん誤解されやすいところだと思います。

サ高住も住宅型有料老人ホームも、それ自体は介護をする施設ではありません。

住まいの部分と、介護サービスの部分が、制度のうえで切り離されています。

だから入居後は、訪問介護やデイサービスと、入居者本人が個別に契約することになります。

介護保険の自己負担も、使ったぶんだけ別に発生します。

「毎月の家賃に介護も含まれている」わけではない、という点はぜひ押さえてください。

なお、同じサ高住や有料老人ホームでも、特定施設入居者生活介護という指定を受けているところは別です。

いわゆる介護型サ高住や介護付き有料老人ホームがこれにあたり、こちらは介護が定額で組み込まれています。

「介護は併設の事業所で」と言われたら

さて、本題です。

多くのサ高住や住宅型有料老人ホームには、同じ建物や敷地に訪問介護やデイサービスが併設されています。

見学のときに「介護が必要になったら、こちらをご利用いただきます」と説明されることも多いはずです。

ここで知っておいていただきたいのは、事業所を選ぶのは入居する本人だ、ということです。

国の基本方針には、こう書かれています。

「入居者が、賃貸人若しくは登録事業者が直接提供する高齢者居宅生活支援サービス以外の外部事業者が提供するサービスの利用を希望した場合には、その利用を制限すべきではない」

有料老人ホームの指導指針にも、同じ趣旨の一文があります。

「入居者の介護サービスの利用にあっては、設置者及び当該設置者と関係のある事業者など特定の事業者からのサービス提供に限定又は誘導しないこと」

つまり「併設を使うことが入居の条件」という説明は、制度の建前からは外れています。

もしそう言われたとしても、その場で言い返す必要はありません。

ただ「外部の事業所も選べると聞いたのですが」と一度たずねてみると、その施設の姿勢がよく見えます。

なぜ、併設に集めたがるのか

とはいえ、施設の側にも事情があります。ここを知っておくと、受け取り方が変わると思います。

訪問介護の事業所にとって、同じ建物の中に利用者が集まっていることは、移動時間がゼロになるということです。

一人あたりの手間が減るので、経営としては効率がいい。だから併設が増えました。

ただ、それが行きすぎると、必要かどうかより「枠いっぱいまで使う」方向に傾いてしまいます。

これが、いわゆる囲い込みと呼ばれている状態です。

悪意のある施設ばかりではありません。ただ、仕組みとしてそうなりやすい、ということです。

国は、こういうやり方で是正しようとしている

近年は、この点にかなり手が入っています。

ひとつは、介護報酬の減算です。

同じ敷地内の建物に住む人へサービスを提供する場合、訪問介護の報酬は10パーセント減らされます。

その建物の利用者が50人以上なら15パーセント。

さらに2024年度からは、正当な理由なく同じ建物の入居者が9割以上を占める事業所に、12パーセントの減算が新設されました。

もうひとつは、ケアプランの点検です。

国が示している抽出の例には、こういうものがあります。

「区分支給限度基準額に対する利用割合が8〜9割以上かつ高齢者向け住まいに入居しており、利用している介護サービスが1〜2種類に限られているケアプラン」

限度額いっぱいまで使い、しかも中身が併設のサービスだけ、という形が点検の対象になるということです。

点検で不適切とみられた場合、自治体は報告徴収や立入検査、是正指示、改善命令、事業の制限や停止命令まで行うことができます。

ここまでの仕組みが用意されているのは、それだけ実際に起きているからだと、私は受け止めています。

見学のときに聞いておきたい4つのこと

制度の話が続いたので、実際に使える形にしておきます。

【1】介護サービスの事業所は、外部を選べますか

【2】いま担当してもらっているケアマネジャーを続けられますか

【3】併設を使わない場合、生活のうえで不便になることはありますか

【4】これまでに、外部の事業所を利用している入居者の方はいますか

とくに4番目が効きます。

前例があるかどうかで、実態が分かるからです。

「制度上は選べます」と言いながら、実際には一人もいない、という施設は少なくありません。

併設でまとめたほうが、うまくいく場合もあります

念のため書いておきたいのですが、私は併設を使うことが悪いとは考えていません。

同じ建物に事業所があると、急な体調の変化に気づいてもらいやすいのは事実です。

夜間の連絡も早く、職員同士で情報が共有されている安心感もあります。

遠方に住むご家族にとっては、窓口がひとつにまとまるほうが現実的な場合も多いはずです。

大事なのは、選んだ結果として併設を使っているのか、選ぶ余地がないまま使わされているのか。

その違いだと思います。

制度の枠に収まらない部分は、どうするか

もうひとつ、現場でよく起きることを書いておきます。

介護保険には、使える上限があります。そして、保険で頼めることの範囲も決まっています。

たとえば通院の付き添いは、範囲外になることが多いサービスです。

草むしりや大掃除、ご家族の分の家事なども対象外になります。

「限度額は残っているのに、頼みたいことは頼めない」という場面が、意外とよく出てきます。

そのときの選択肢のひとつが、介護保険を使わない自費のサービスです。

保険の枠と関係なく、必要なことを必要なだけ頼めるのが利点です。

併設の事業所に頼めない用事を、外から足す。そういう使い方もできます。

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まとめ

サ高住と住宅型有料老人ホームの違いは、部屋よりも契約と基準にあります。

サ高住は法律で最低ラインが決まっていて、住宅型有料老人ホームは施設ごとの差が大きい。

そしてどちらも、介護サービスは外から入ってくる形です。

だからこそ「介護は併設で」という説明は、条件ではなく提案として受け取ってよいものです。

見学のときに、事業所を選べるかどうかを一度たずねてみる。

それだけで、その施設が入居者をどう見ているかが、かなり分かると思います。

よくある質問

Q. 「併設の事業所を使っていただくのが条件です」と言われました。従うしかないのでしょうか。

A. 制度のうえでは、特定の事業者に限定したり誘導したりしないことが求められています。まずは地域包括支援センター(介護の相談をまとめて受けてくれる、市区町村の窓口です)や、施設を所管する自治体の窓口に相談してみてください。

Q. 入居しても、いまのケアマネジャーを続けられますか。

A. 制度のうえでは続けられます。ただし距離が遠いと訪問の回数が限られるなど、現実的に難しい場合もあります。入居先が決まった段階で、いまの担当者に率直に相談されるのがいちばん早いです。

Q. サ高住のほうが費用は安いのですか。

A. 一概には言えません。サ高住は家賃・共益費・サービス費が分かれているぶん一見安く見えますが、介護保険の自己負担は別に発生します。住宅型有料老人ホームは前払金の有無で総額が大きく変わります。比べるときは、月額だけでなく年単位で並べてみてください。

Q. 限度額いっぱいまで介護保険を使うのは、良くないことなのでしょうか。

A. 必要があって使っているのなら、まったく問題ありません。点検されているのは使いすぎそのものではなく、本人にとって必要かどうかが確かめられているか、という点です。

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※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。サービス付き高齢者向け住宅の登録基準は、自治体によって上乗せの要件がある場合があります。介護報酬の減算区分や届出の取り扱いも、判定期間や運用の細部が自治体で異なることがありますので、具体的な取り扱いはお住まいの市区町村にご確認ください。

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