お金のこと
老人ホームの紹介サイトは、どうやってお金を得ているのか|「相談無料」のしくみと、知っておきたい一点

「ご相談は無料です」
老人ホームの紹介サイトを開くと、たいていこう書いてあります。
電話をすれば候補を出してくれて、見学の日程まで組んでくれる。それでこちらは一円も払わない。
ありがたい話です。私も、困っているご家族には使える手だと思っています。
ただ、あるとき電話をくださった方に、こう聞かれたことがありました。
「あの人たち、どこからお金をもらっているんですか」
言われてみれば、そうですよね。
順番に整理していきます。
「無料」の相談窓口は、施設からお金を受け取っています
紹介サイトの多くは、成果報酬というしくみで動いています。
ご家族を施設に案内して、その方の入居が決まったときに、施設から紹介手数料を受け取る。
入居が決まらなければ、一円も入りません。
だから相談する側は無料で使えます。お金を払っているのは、ご家族ではなく施設のほうです。
このしくみ自体は、珍しいものではありません。不動産でも人材でも、同じかたちのサービスはたくさんあります。
金額は、思っているより大きいかもしれません
では、いくらぐらい動いているのか。
一般的には、入居される方の月額利用料の1か月分から3か月分程度が目安と言われています。定額で決めている場合もあります。
月額20万円の施設なら、20万円から60万円ということになります。
施設からすると、入居者お一人を迎えるたびに、それだけの支出が発生する計算です。
この数字を知ると、見え方が少し変わってきませんか。
紹介会社が悪い、という話ではありません
先に書いておきたいことがあります。
紹介会社の相談員には、本当に丁寧な方がたくさんいます。
地域の施設をよく知っていて、空き状況も頭に入っていて、こちらの事情を聞いて現実的な候補を出してくれる。私も現場でそういう方に何度も助けられてきました。
無料で相談できる窓口があること自体は、探している側にとってありがたいことです。
問題は人ではなく、しくみのほうにあります。
ただ、案内が偏る可能性はあります
成果報酬というのは、入居が決まってはじめて収入になるしくみです。
すると、どうしても「決まりやすい施設」に案内が寄りやすくなります。
空きがある施設。話が早い施設。そして、手数料を多めに払ってくれる施設。
もうひとつ、金額の話はご家族の見えないところで決まります。
だから、なぜその施設をすすめられたのかが、外からは分からない。本当に合っているからなのか、それとも別の理由なのか。
そこが見えにくいのが、このしくみの弱いところだと思っています。
国も、この点に手を入れはじめました
実は最近、この話は行政の側でも動いています。
2024年12月6日、有料老人ホームの設置運営標準指導指針が改定されました。
そこで「社会保障費の不適切な費消を助長するとの誤解を与えるような手数料の設定」が禁止されています。
かみくだくと、介護保険や医療保険から入るお金をあてにして紹介料を高く積む、という決め方をしてはいけない、ということです。
続いて2025年1月27日には、全国有料老人ホーム協会が会員のホームに向けて注意を促しました。
そのなかで、「ご利用者様あるいはご家族様が知りえないところでの値決め」になることの問題を指摘し、こうした慣行は事業者全体のイメージを損なうと書いています。
業界の側も、このままではまずいと考えはじめている。そういう段階です。
紹介サイトを使うとき、聞いてみるといい3つのこと
では、使う側はどうすればいいか。
使わないという選択をおすすめしているわけではありません。聞き方を少し変えるだけで、ずいぶん変わります。
【1】この施設をすすめてくださった理由を教えてください
いちばん効くのはこれです。「母の状態のどこと、この施設の何が合っていますか」と具体的に聞いてみてください。
すらすら答えられる方は、本当に施設を見ています。
【2】条件に合うのに候補から外した施設はありますか
外した理由を聞くと、その方の判断の物差しが見えます。
【3】ここは提携している施設ですか
聞きにくいかもしれません。でも失礼な質問ではありません。答えてくれるかどうかも含めて、判断の材料になります。
あわせて、必ずご自分でも1つ2つ、候補を足してみてください。
紹介サイトから出てきた候補だけで決めない。市区町村の窓口や地域包括支援センター(介護の相談をまとめて受けてくれる、市区町村の窓口です)でも、地域の施設を教えてもらえます。
住まいブリッジは、どうしているか
自分のところの話も書いておきます。
このサイトは成果報酬をいただいていません。掲載している施設から、月々の掲載料をいただいて運営しています。
入居が決まっても、追加のお金はいただきません。
そうしている理由は単純で、そのほうが記事を書きやすいからです。
どこかの施設に入居してもらわないと収入にならない状態だと、記事の書き方が変わってしまいます。
もちろん、掲載料をいただいている以上、私たちも中立ではいられない部分があります。掲載している施設のページは、当然このサイトの中にあります。
だからこそ、記事のほうでは特定の施設を持ち上げないと決めています。
そのうえで、ご自分の目で選んでいただければと思っています。
まとめ
紹介サイトの相談が無料なのは、施設のほうが紹介手数料を払っているからです。目安は月額利用料の1か月から3か月分程度と言われています。
このしくみが悪いわけではありません。丁寧な相談員はたくさんいます。
ただ、入居が決まってはじめて収入になる以上、案内が「決まりやすい施設」に寄る可能性はあります。
だから、すすめられた理由を具体的に聞いてください。そして、ご自分でも候補を1つ2つ足してみてください。
2024年12月の指針改定と2025年1月の協会の注意喚起で、この点は業界の側でも見直しが始まっています。
よくある質問
Q. 紹介サイトを使うと、施設の費用が高くなりますか。
A. 入居される方が紹介手数料を直接払うことはありません。ただ、施設からすれば集客にかかった費用です。それが月額利用料や入居一時金にどう反映されているかは、施設ごとに違います。気になる場合は、施設に直接問い合わせて費用の内訳を確認してください。
Q. 手数料の金額を、家族が知ることはできますか。
A. 通常は開示されません。2025年1月の全国有料老人ホーム協会の文書でも、ご利用者やご家族が知りえないところでの値決めになっている点が問題として指摘されています。金額そのものより、すすめられた理由を具体的に聞くほうが実際の役に立ちます。
Q. 複数の紹介サイトに相談してもいいですか。
A. 問題ありません。むしろ2社ほどに相談すると、出てくる候補の重なり方で地域の実情が見えてきます。ただし同じ施設に複数の会社から話がいくと施設側が混乱するので、見学を申し込む段階では窓口を1つに絞ってください。
Q. 市区町村に相談する場合も、お金はかかりますか。
A. かかりません。地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当課への相談は無料です。担当のケアマネジャーがいる場合も、ケアプラン作成の範囲で相談に乗ってもらえます。紹介サイトと並行して使ってください。
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住まいブリッジでは、愛知県西三河地域と岐阜県の高齢者施設を、広告費の多さではなく条件から探せるようにしています。地域や施設種別から候補を絞り込んで、見学のご相談にお使いください。
まずは、すすめられた施設について「なぜここなんですか」と一度聞いてみませんか。
※本記事の内容は2026年9月時点の一般的な情報です。紹介手数料の水準や契約のかたちは会社ごとに異なり、ここに書いた金額はあくまで目安です。実際の費用や契約内容は、利用される紹介会社と入居先の施設に直接ご確認ください。
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