お金のこと

2026.08.25

介護保険の住宅改修費20万円、実際いくら使える?対象工事6種と申請前に知っておきたい5つのこと

「施設を探す」の前に、家を直すという選択肢があります

手すりが1本あれば、あと数年は自宅で過ごせたかもしれない。施設のご相談を受けていると、そう感じる場面が少なくありません。

介護保険には住宅改修費という給付があり、要支援1以上の認定を受けていれば使えます。前回は施設の費用を軽減する制度を整理しましたが、今回はその手前、自宅での暮らしを続けるための制度です。

ただしこの制度、対象になる工事が6種類に限られていて、しかも申請の順番を間違えると1円も支給されません。使う前に押さえておきたい点を整理します。

対象になる工事は6種類だけ

介護保険で使えるのは、次の6種類に該当する工事に限られます。

①手すりの取付け ②段差の解消 ③滑りの防止・移動の円滑化のための床材や通路面の材料の変更 ④引き戸等への扉の取替え(扉の撤去を含む) ⑤洋式便器等への便器の取替え ⑥上記に付帯して必要になる工事

新築・増築は対象外です。浴槽の入れ替えやキッチンの改修も、これらに当てはまらないため対象になりません。

見落とされがちなのが⑥の付帯工事です。手すりを取り付けるための壁の下地補強、段差解消に伴う給排水工事などは、主たる工事に付帯するものとして対象になり得ます。「手すりだけ」と決めつけず、まとめて相談したほうが結果的に得になることがあります。

20万円は「もらえる額」ではなく「工事費の上限」

支給限度基準額の20万円は、あくまで工事費の上限です。この枠内の工事費に対して、所得に応じて9割・8割・7割が支給されます。

1割負担の方なら支給は最大18万円、2割負担なら16万円、3割負担なら14万円。20万円を超えた分は全額自己負担になります。

一度に使い切る必要はなく、20万円の枠内であれば複数回に分けて使えます。まず玄関の手すり、あとから浴室の段差、という進め方も可能です。

なお限度額に要介護度による差はありません。要支援1でも要介護5でも同じ20万円です。

20万円がもう一度使える2つの例外

実はこの20万円、条件を満たすともう一度使えます。

1つ目は、要介護状態区分が3段階以上上がったとき。たとえば要支援2から要介護3になった場合です。2つ目は、転居したとき。いずれも同一の方・同一の住宅について1回だけ適用されます。

特に「3段階リセット」はあまり知られておらず、使えるのに使わないまま終わってしまう方が多い仕組みです。認定の更新で区分が大きく変わったときは、ケアマネジャーに確認してみてください。

最大の落とし穴は「工事の前に申請」

これが一番多い失敗です。着工後の申請は制度の対象外で、工事を終えてから申請しても支給されません。

流れはこうなります。ケアマネジャー等に相談 → 見積書と住宅改修が必要な理由書を用意 → 市区町村へ事前申請 → 確認を受ける → 着工 → 完成後に支給申請。

退院日が迫っているなど、急ぎたい事情があるときほど「先に工事を始めてしまう」ことが起こります。どんなに急いでいても、事前申請だけは飛ばさないでください。

受領委任払いを使えば、立て替えが要らない

住宅改修費は原則「償還払い」です。つまり、いったん工事費の全額を業者に支払い、あとから9割分が戻ってきます。20万円の工事なら、一時的に20万円を用意する必要があるということです。

ただし豊田市をはじめ多くの市町村には「受領委任払い」という仕組みがあります。市と協定を結んだ施工業者と契約すれば、支払うのは自己負担分だけ。1割負担の方なら2万円で済みます。

手元の資金に不安がある場合は、業者を選ぶ段階で「受領委任払いに対応していますか」と必ず確認してください。対応していない業者を選んでしまうと、この仕組みは使えません。

工事の前に、福祉用具で足りないか確かめる

意外と知られていませんが、据置型の手すり、スロープ、浴槽内の手すりなどは、工事をしなくても福祉用具のレンタルや特定福祉用具販売で対応できることがあります。

壁に固定するなら住宅改修、置くだけで済むなら福祉用具。同じ「手すり」でも使う制度が変わり、費用も手続きもまったく違います。賃貸住宅で工事の許可が取れない場合も、福祉用具なら解決できるケースがあります。

20万円の枠は有限です。使う前に、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に「これは工事しかありませんか」と一度確認してみてください。

20万円で足りないとき、対象外の工事をしたいとき

浴室全体の改修、寝室を1階へ移す、車いすが通れるよう廊下を広げる。こうした工事は介護保険の対象外だったり、対象でも20万円ではとても収まらなかったりします。

この場合は自費になりますが、その前に市区町村へ確認してください。介護保険とは別に、自治体独自の住宅改修助成を用意しているところがあります。高齢者向け、障がい者向けなど窓口が分かれていることもあるので、「介護保険以外に使える住宅改修の助成はありますか」と聞くのが確実です。

そのうえで自費部分については、必ず複数社から見積もりを取ってください。同じ工事内容でも会社によって金額に大きな差が出る分野で、1社だけの見積もりでは高いのか安いのか判断できません。介護向け改修の実績がある会社を含めて比べるのがコツです。

※以下は広告を含みます。地元の業者に心当たりがない場合は、条件を入力すると複数社の見積もりをまとめて取り寄せられるサービスもあります。

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まとめ

住宅改修費は、施設への入居を先延ばしにできるかどうかを左右する制度です。ポイントは3つ。

対象は6種類の工事に限られること。20万円は工事費の上限で、戻ってくるのは原則その9割にあたる18万円まで。そして何より、必ず工事の前に申請すること。

この3つさえ押さえておけば、大きな失敗は避けられます。あとはケアマネジャーと相談しながら進めてください。

そして、自宅での暮らしが難しくなったときのために、地域にどんな施設があるのかを今のうちに見ておくことをおすすめします。住まいブリッジでは愛知県西三河地域と岐阜県各地域の高齢者施設を、地域別・施設種別から検索できます。

よくある質問

Q. 要支援でも使えますか? A. 使えます。要支援1以上の認定があれば対象で、限度額20万円に要介護度による差はありません。

Q. 賃貸住宅でも使えますか? A. 使えますが、所有者の承諾が必要です。退去時に原状回復を求められる場合もあるため、着工前に書面で確認しておきましょう。

Q. 施設に入居していても使えますか? A. 使えません。在宅生活が前提の給付です。入院中でも、退院後に自宅へ戻ることが確実であれば申請できる場合があります。

Q. 業者は自分で選べますか? A. 選べます。ただし受領委任払いを使いたい場合は、市区町村と協定を結んだ業者に限られます。

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※本記事の内容は2026年8月時点の一般的な情報として整理したものです。手続きの詳細や自治体独自の助成制度は市区町村によって異なります。実際にご利用の際は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口および担当のケアマネジャーにご確認ください。

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