施設さがし

2026.09.30

中濃・飛騨で施設をさがすとき、最初につまずくこと|関・美濃加茂・可児・郡上・高山・下呂・飛騨

「白川の施設を見に行こうと思うんです」。

そう言われたとき、私は一度確認するようになりました。

白川村ですか、それとも白川町ですか、と。

この2つは名前がよく似ていますが、場所も、属する圏域もまったく違います。

白川村は飛騨のいちばん北。白川町は中濃、美濃加茂市の東側です。

車なら2時間以上離れています。

笑い話のようですが、施設さがしではこの手の取り違えが起こります。

岐阜県の中濃・飛騨は、それだけ広いということでもあります。

今日は、この地域で施設をさがし始めるときに、最初に決めておくとよいことを整理してみます。

前回の西三河の記事と同じく、施設の名前は挙げません。制度の話に絞ります。

「中濃」「飛騨」はどこを指すのか

岐阜県は高齢者施策を組むときに、県内を5つの老人福祉圏域に分けています。

岐阜・西濃・中濃・東濃・飛騨の5つです。

第9期岐阜県高齢者安心計画によると、内訳はこうなっています。

中濃圏域(13市町村)…関市、美濃市、美濃加茂市、可児市、郡上市、坂祝町、富加町、川辺町、七宗町、八百津町、白川町、東白川村、御嵩町

飛騨圏域(4市村)…高山市、飛騨市、下呂市、白川村

冒頭の話に戻りますが、白川村は飛騨、白川町と東白川村は中濃です。

パンフレットや検索結果を見比べるときは、市町村名を最後まで読んでから比べてみてください。

この圏域は、県が施設の整備量を考える単位でもあります。

ただ、実際に申し込めるかどうかを決めるのは圏域ではなく市町村です。ここは後で触れます。

同じ市の中で、車で1時間以上離れていることがある

この地域の施設さがしが難しい最大の理由は、面積です。

岐阜県の統計から、主な市の面積を並べてみます。

【高山市】2,177.61km² /【郡上市】1,030.75km² /【下呂市】851.21km² /【飛騨市】792.53km²

【関市】472.33km² /【美濃市】117.01km² /【可児市】87.57km² /【美濃加茂市】74.81km²

高山市は、市としては日本でいちばん面積が広い市です。市自身も「東京都に匹敵する面積」と説明しています。

ここで何が起きるかというと、「市内の施設」という言葉の意味が変わります。

都市部なら市内といえば数キロの話です。高山市や郡上市では、同じ市内でも山を越えることがあります。

面会に通うことを考えると、この差は決定的です。

ですので、探し始める前に地図を開いて、自宅から片道何分までなら通えるかを先に決めてしまう。

私がおすすめしているのは、この順番です。

条件のよい施設を見つけてから距離を考えると、たいてい無理をすることになります。

冬の道のことも、この地域では計算に入れておいたほうがよいと思います。

相談の入口は、市ごとに数も名前も違う

施設さがしの最初の相談先は、多くの場合地域包括支援センターです。

介護の相談をまとめて受けてくれる、市区町村の窓口のことです。

ところが、この設置のかたちが市によってかなり違います。

岐阜県が公表している一覧(令和6年4月1日現在)と各市の公表をあわせて見ると、こうなります。

【関市】6か所。中央第1から第4に、西地域・東地域を加えた区分

【可児市】6か所。市役所内や地区センター、病院などに置かれている

【美濃加茂市】3か所。ただし名称は「長寿支援センター」。小学校区で西部・中部・東部に分かれる

【郡上市】1か所。市全域が担当

【高山市】本センター1か所。あわせて各支所に相談の窓口(ブランチ)が置かれている

【下呂市】本センターと金山支所の2か所体制

【飛騨市】本センターと神岡窓口の2か所体制

ここで注意したいのは美濃加茂市です。

「美濃加茂市 地域包括支援センター」で調べても、「長寿支援センター」という名前で案内されているため見つけにくいことがあります。

郡上市のように、1,000km²を超える市域を1か所でカバーしているところもあります。

電話1本で足りることも多いですが、書類を持って行く必要がある場面では、最寄りの窓口かどうかを先に聞いておくと往復が減ります。

高山市や下呂市、飛騨市のように支所や窓口がある市では、まず近い窓口に電話してみるのがよいと思います。

市境を越えられる施設と、越えられない施設がある

ここが、広い地域でいちばん効いてくる制度の話です。

「隣の市の施設のほうが近い」。中濃・飛騨では十分に起こることです。

ただ、施設の種類によって、越えられるかどうかが変わります。

越えられないことが多いのが、地域密着型サービスです。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、定員29人以下の特別養護老人ホーム、小規模多機能型居宅介護などが該当します。

これらは市町村が指定するサービスで、原則としてその市町村の被保険者しか使えません。

例外として、施設のある市町村長の同意が得られれば区域外の方も利用できます。ただし手続きが必要で、認められるかはその市町村の判断です。

越えられるのが、住所地特例の対象になる施設です。

特別養護老人ホーム(定員30人以上)、介護老人保健施設、介護医療院、有料老人ホームなどが対象です。

これらに他の市町村から入った場合、介護保険の保険者は元の市町村のままになります。

受け入れ側の市町村の負担が重くなりすぎないようにするための仕組みです。

逆に、賃貸借方式で特定施設入居者生活介護の指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅は、住所地特例の対象外です。

ややこしいのですが、実務で覚えておくとよいのはこの一点だと思います。

グループホームと小規模な特養は住んでいる市町村の中で。大きめの特養・老健・有料老人ホームは市境を越えられる。

選択肢を広げたいときに、どちらの種類を見ているのかを意識するだけで、空振りがずいぶん減ります。

介護保険の窓口は市町村ごと。ただし審査会は共同のところもある

県内には、複数の市町村が集まって介護保険を運営している広域連合もあります。

ただ、岐阜県の公表資料で確認すると、そうした広域連合は3団体で、いずれも岐阜・西濃の圏域です。

中濃・飛騨は、白川村や東白川村を含めてすべて各市町村が単独の保険者です。

ですので、申請や相談の窓口はお住まいの市役所・町村役場になります。

一方で、要介護認定の審査をする介護認定審査会は、共同で運営しているところがあります。

白川村は審査会を高山市に委託しています。

美濃加茂市と加茂郡の7町村は審査会を共同で設置しており、可児市と御嵩町も共同設置です。

ここは書類の流れに関わる話で、ご家族が直接動く場面ではありません。

ただ「認定に時間がかかっている」と言われたとき、審査会の開催日程が絡んでいることがあります。

そのくらいの理解で十分だと思います。

高齢化率が4割に近い市もある、という前提

もう一つ、地域の背景を挙げておきます。

岐阜県の資料(令和2年国勢調査に基づく市町村別データ)では、高齢化率にかなりの幅があります。

下呂市40.6%、飛騨市40.4%、高山市38.8%、郡上市37.5%といった水準です。

一方で、可児市は28.1%、美濃加茂市は23.4%と、20%台の市もあります。

同じ県内でも、地域によって事情が違うということです。

特別養護老人ホームの入所申込者は、第9期岐阜県高齢者安心計画によると令和5年4月1日現在で県全体5,659人。

そのうち入所の必要度が高いと整理された方が2,153人とされています。

これは県全体の数で、市ごとの内訳は公表資料から確認できませんでした。

ですので「この市は何年待ち」という言い方は、この記事ではしません。

待ちの長さは施設ごとに違いますし、申し込みの順番だけで決まるものでもありません。

そこは特養の申し込みの記事に書いたとおりです。

最初に決めておくと、迷いが減ること

ここまでを踏まえて、探し始める前に決めておくとよいことを4つ挙げます。

【1】片道何分まで通えるか。 冬の道も含めて考える。まずこれを決める

【2】見ているのは地域密着型か、そうでないか。 グループホームを中心に考えるなら、市内に絞られる

【3】相談の窓口はどこか。 美濃加茂市なら「長寿支援センター」、高山市や下呂市・飛騨市なら最寄りの窓口を確かめる

【4】誰が面会に通うか。 通う人の生活圏で決めたほうが、後から続きます

この4つが決まると、候補は自然に絞られていきます。

逆に、ここが決まらないまま見学を重ねると、比べる軸がぶれてしまいます。

私が見てきた限り、迷いが長引くのはたいていこのパターンです。

まとめ

中濃は13市町村、飛騨は4市村です。白川村は飛騨、白川町と東白川村は中濃です。

高山市は日本でいちばん面積の広い市で、郡上市・下呂市・飛騨市も広い市域を持ちます。

そのため「市内」という条件が、そのままでは距離の条件になりません。

相談の入口は市ごとに違い、美濃加茂市は「長寿支援センター」という名前です。

グループホームや小規模な特養は原則として住んでいる市町村の中。特養・老健・有料老人ホームは市境を越えられます。

まずは地図を開いて、通える範囲を決めてみませんか。

中濃・飛騨の施設は、住まいブリッジの地域サイトでもご覧いただけます。

住まいブリッジ 中濃・飛騨(関・美濃加茂・可児・郡上・高山・下呂・飛騨)

次回の地域記事は、岐阜地域(岐阜市・各務原市・羽島市・山県市ほか)について書く予定です。

よくある質問

Q. 高山市に住んでいます。隣の下呂市のグループホームに入れますか。

A. 原則としては入れません。グループホームは地域密着型サービスで、その市町村の被保険者が対象です。ただし施設のある市町村長の同意が得られれば区域外の利用が認められる場合があります。まずは高山市と下呂市の介護保険担当窓口にご相談ください。

Q. 市外の特別養護老人ホームに入ると、介護保険はどうなりますか。

A. 定員30人以上の特養は住所地特例の対象で、保険者は元の市町村のままになります。手続きは施設側が案内してくれることが多いですが、届出が必要なので確認してください。

Q. 美濃加茂市の地域包括支援センターが見つかりません。

A. 美濃加茂市では「長寿支援センター」という名称で案内されています。西部・中部・東部の3か所があり、小学校区で担当が分かれています。市の公式サイトの高齢福祉の担当課のページから確認できます。

Q. 郡上市や高山市で、遠い施設でも申し込むべきでしょうか。

A. 制度上は同じ市内なら申し込めます。ただ、面会に通えるかどうかは入居後の満足度に直結します。通う方の生活圏から逆算して、無理のない範囲で候補を作ることをおすすめします。

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※本記事は2026年9月時点の公表資料をもとに書いています。圏域の区分と特養入所申込者数は第9期岐阜県高齢者安心計画、面積は岐阜県の市町村別統計(令和3年10月1日現在)、地域包括支援センターの設置状況は岐阜県の一覧(令和6年4月1日現在)と各市の公表、高齢化率は岐阜県が公表する令和2年国勢調査に基づく市町村別データによります。高齢化率は集計の取り方により市の公表値と異なる場合があります。地域密着型サービスの区域外利用の可否は市町村の判断によりますので、実際の取り扱いは各市町村の介護保険担当窓口でご確認ください。

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