施設さがし
親を数日だけ預けたい|ショートステイの空きの探し方と、連続30日ルールで損をしないために

「一日でいいから、何も考えずに眠りたい」
そう言われたのは、日中も夜中も親御さんの介護をされている娘さんからでした。ご本人は、そのあとすぐに「こんなこと言ったらいけないですよね」と付け足されました。
いけなくないです。むしろ、そこまで我慢してしまう前に使ってほしい仕組みがあります。
ショートステイ(短期入所生活介護。数日から数週間、施設に泊まって介護を受けるサービスです)です。
ただ、いざ使おうとすると「空いていない」と言われることが多い。私もこの相談を何度も受けてきました。
今日は、空きの探し方と、意外と知られていない「連続30日」の落とし穴について書きます。
「介護している人が休むため」は、後ろめたい理由ではありません
まずここを外せません。
ショートステイは、国の基準に「利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図る」と書かれているサービスです。
つまり、介護している人が休むために使うことが、制度の目的そのものとして書いてある。
冠婚葬祭や、介護している人の入院。そういう「やむを得ない事情」がないと使えないと思っておられる方が、本当に多いです。
そうではありません。「疲れたから休みたい」で十分に理由になります。
ここを知らないまま限界まで頑張って、ある日ぱたりと倒れてしまう。その結果、親御さんのほうが急に行き先を失う。私が一番避けたいのはその展開です。
空きは「思い立った日」には出ません
では、どう探すか。
正直に申し上げると、ショートステイの予約は、早い者勝ちの世界です。
多くの施設が、1〜2か月先の予約を受け付ける形をとっています。人気のある施設ほど、枠が開いた初日にケアマネジャーさんからの電話が集中します。
ですから、動き方はこうなります。
【1】まずケアマネジャーさんに「使いたい」と伝える
ご家族が直接施設に電話しても、多くの場合は「ケアマネジャーさんを通してください」と言われます。ケアプランに位置づける必要があるからです。
このとき、「いつか使うかも」ではなく「○月の○日あたりで、2泊」と具体的に伝えると、ケアマネジャーさんが動きやすくなります。
【2】第1希望だけでなく、第2・第3希望まで出す
日にちを1つに絞ると、埋まっていた時点で終わってしまいます。「この週のどこかで2泊」という幅を持たせて伝えると、通る確率が上がります。
【3】1か所に決め打ちしない
同じ市内に複数のショートステイがあります。1か所に断られたら次、では時間がかかります。最初から2〜3か所を候補にしておくほうが早い。
【4】年末年始・お盆・連休は、さらに早く動く
このあたりは、どの施設も混みます。3か月前から動いても遅くないくらいです。
「連続30日」を超えると31日目から全額自費になります
ここが、あとで金額に響いてくるところです。
介護保険のショートステイは、連続して30日を超えた分は、介護保険から支払われません。31日目以降は全額が自己負担になります。
「じゃあ、30日で一度家に帰って、次の日からまた入れば?」
これも通りません。同じ事業所で、自費の日を挟んで連続30日を超えて利用する場合は、基本のサービス費が減算されるしくみになっています。
もうひとつ、見落とされやすい目安があります。
ケアプランをつくるとき、ショートステイの利用日数が、要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないことが目安とされています。
要介護認定の有効期間が12か月なら、ショートステイはおおむね6か月分まで、ということです。
これは「絶対に超えてはいけない」という上限ではなく、心身の状況などで特に必要な場合は超えられます。ただ、自治体によっては、連続31日以上や半数を超える利用に届出(理由書)を求めているところがあります。
届出をしていなかったために、あとから費用の返還を求められることもあり得ます。お住まいの市区町村でどうなっているかは、ケアマネジャーさんに一度確認してください。
それでも「今日、預かってほしい」ときは
介護をしている方が急に倒れた。骨折した。そういうときの話です。
多くの市区町村に、緊急時のショートステイの枠があります。名前は自治体によって違います(「緊急ショートステイ」「緊急一時保護」など)。
ただ、これも空いていなければ使えません。頼れる先は、この順番になります。
まずケアマネジャーさん。事業所間のつながりで空きを探してくれます。
次に地域包括支援センター(介護の相談をまとめて受けてくれる、市区町村の窓口です)。担当のケアマネジャーさんに連絡がつかないときは、ここが動いてくれます。
それでも見つからないときは、日中だけデイサービスを増やす、訪問介護を臨時で入れる、といった組み合わせでしのぐことになります。
預けられなかった日を、どう乗り切るか
ショートステイの空きが見つからない日は、どうしても出てきます。
そういうとき、介護保険の枠だけで組もうとすると、行き詰まります。「回数の上限を超えるので、これ以上は入れられません」と言われて終わってしまう。
私がご家族にお伝えしているのは、「介護保険で足りない部分は、自費のサービスで埋めるという手もあります」ということです。
たとえば、通院の付き添い。数時間の見守り。「介護保険では対応できない」と言われる用事ほど、自費のサービスのほうが融通が利きます。
毎日使うと高くつきますが、「この日をしのげば楽になる」という日にだけ使うのであれば、現実的な選択肢になります。
※以下は広告を含みます。
ショートステイを、そのまま入所につなげられますか
これは本当によく聞かれます。
「特養に併設のショートステイを使っていれば、入所のとき有利になりますか」
基本的には、有利にはなりません。特別養護老人ホームの入所順位は、介護の必要度やご家族の介護力などをもとに、施設の入所検討委員会で決まります。ショートステイの利用実績が加点される仕組みではありません。
ただし、まったく無意味かというと、そうでもありません。
施設の職員さんが、親御さんの様子を実際に知っている。これは申し込みの際の情報として生きます。「この方はこういう介護が必要だ」という理解が、書類だけよりずっと具体的になります。
そして、ご家族にとっても大きい。「この施設なら任せられそうか」を、入所を決める前に体験できます。
入所順位のしくみそのものについては、別の記事に詳しく書きました。あとで読んでみてください。
急がないほうがいい場合もあります
最後に、逆のことも書いておきます。
親御さんが認知症の症状が強く出ている時期は、環境が変わることで混乱が大きくなることがあります。夜眠れなくなる、帰ろうとして落ち着かない、といった形で。
このタイミングで無理に初めてのショートステイに預けると、「もう行きたくない」となって、その後ずっと使えなくなることがあります。
こういうときは、まず日帰りのデイサービスで慣らす。同じ施設のデイサービスに通ってからショートステイに入る。そういう順番のほうが、結果的にうまくいく場合が多いです。
急いでいるときほど、この判断は難しいです。ケアマネジャーさんと相談してみてください。
まとめ
ショートステイは、介護している人が休むために使ってよいサービス。制度にそう書かれています
予約は早い者勝ち。日にちに幅を持たせて、2〜3か所を候補にする
年末年始・お盆・連休は、3か月前から動く
連続30日を超えると、31日目から全額自費。自費を挟んで連続しても減算される
認定有効期間のおおむね半数が利用日数の目安。自治体によって届出が要る
特養併設のショートステイを使っても、入所順位は上がらない。ただし施設を知る機会にはなる
認知症の症状が強い時期は、デイサービスから慣らすほうが安全なことがある
よくある質問
Q. ショートステイは何日前から予約できますか。
A. 施設によって違いますが、1〜2か月前から受け付けるところが多いです。人気のある施設は受付初日に埋まります。まずケアマネジャーさんに、施設ごとの受付開始日を確認してもらってください。
Q. 連続30日を超えて使いたいのですが、方法はありますか。
A. 別の事業所に移れば、そこで改めて日数を数えることになります。ただ、環境が変わる負担は親御さんにかかります。長期間預けたい状況が続いているなら、それはショートステイで埋める段階ではなく、入所を検討する段階かもしれません。ケアマネジャーさんに率直に相談してみてください。
Q. 費用はどのくらいかかりますか。
A. 要介護度・施設の種類・部屋のタイプ(個室か多床室か)で変わります。介護保険の自己負担分に加えて、食費と滞在費がかかります。食費・滞在費は所得に応じた軽減の対象になる場合があります(負担限度額認定)。金額は必ず、利用する施設に見積もりを出してもらってください。
Q. 家族が休みたいだけ、という理由で断られませんか。
A. 断られる理由にはなりません。国の基準に、家族の負担軽減がサービスの目的として書かれています。もし理由の説明を求められたら、「介護者の休養のため」とそのまま伝えて問題ありません。
あわせて読みたい
特養の申し込み、早く出せば早く入れる?入所順位が決まるしくみと待機中にできること
病院から「そろそろ退院を」と言われたら|入院中に施設を決める手順と、退院支援の使い方
介護離職を防ぐ|介護休業93日の本当の使い方と、2025年から会社に義務づけられたこと
住まいブリッジでは、愛知県西三河地域と岐阜県の高齢者施設をご紹介しています。ショートステイの受け入れがある施設についても、ご相談いただけます。施設さがしのご相談はこちら(無料)。
※本記事の制度の内容は2026年9月時点のものです。連続利用日数の取り扱いや届出の要否は市区町村によって運用が異なります。実際の利用にあたっては、担当のケアマネジャーまたはお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
新着情報一覧へ戻る
同じテーマの記事
施設さがし
2025.05.19 ケアマネージャー視点で見る!施設見学のチェックポイントとは?
施設さがし
2025.05.28 【退院後すぐに入居したい】高齢者向け介護施設の選び方ガイド
施設さがし
2025.05.31 【病気があっても入居できる?】介護施設への入居と健康状態について
施設さがしのご相談はこちら(無料)
お住まいの地域から施設をさがす