施設さがし

2026.09.04

病院から「そろそろ退院を」と言われたら|入院中に施設を決める手順と、退院支援の使い方

親が入院して、まだ状態が落ち着いていないのに「そろそろ退院の話を」と切り出される。ご家族から最もよく届くご相談が、この場面です。

家に戻れる状態には見えない。かといって施設のことは何も調べていない。何を、どの順番で進めればいいのか分からないまま日が過ぎていく。ここでは、入院中に施設を決めるための手順と、病院にある退院支援の窓口の使い方を整理します。

病院が急ぐのは、ご家族の事情を軽く見ているからではありません

まず前提として知っておいていただきたいことがあります。急性期の病院が入院を長く続けられないのは、そういう制度になっているからです。

多くの急性期病院はDPCという入院医療費の計算方式を使っています。この方式では、病気ごとに入院期間がI・II・IIIの3段階で決められていて、入院が長くなるほど1日あたりの点数が下がっていきます。期間Iには上乗せがある一方、期間IIではその上乗せ分が差し引かれ、期間IIIではさらに期間IIの85パーセント相当まで下がります。期間IIIを超えると、そもそもDPCの対象から外れます。

つまり病院側は、治療が一段落した患者さんを長く入院させ続けると収支が合わない構造になっています。「まだ心配なのに」というご家族の感覚と、病院が動くタイミングがずれるのはこのためです。担当の看護師や医師個人が冷たいわけではありません。

この構造を知っておくと、「追い出される」ではなく「次の場所を一緒に探してもらう」という向き合い方に切り替えられます。

まず会うべき人がいます|医療ソーシャルワーカー

病院には、退院後の生活を相談するための専門職がいます。医療ソーシャルワーカー(MSW)と、退院支援・退院調整を担当する看護師です。相談室、地域連携室、患者支援センターなど、病院によって名前が違います。

医療ソーシャルワーカーは社会福祉の専門職で、退院後にどこで療養するかの選択と調整、使える制度やサービスの情報提供を担当しています。病院の職員なので、相談にご家族が費用を払うことはありません。ここを知らずに、誰にも相談できないまま抱え込んでしまう方が本当に多いところです。

会うタイミングは、退院の話が出てからではなく、入院して状態が見えてきた時点です。「退院後は自宅は難しいかもしれない」と感じた時点で、看護師に「ソーシャルワーカーさんに相談したい」と伝えてください。それだけで話が動き始めます。

聞いておきたいのは次のことです。

【見通し】いまの治療の段階で、退院はおおよそいつごろになりそうか

【身体の状態】退院時点でどのくらい動けそうか、医療的な処置は残るのか

【選択肢】自宅、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホームのうち、どれが現実的か

【手続き】要介護認定の申請や区分変更が必要か、誰が動くのか

入院何日目に何をするか

限られた期間で動くので、順番が大事になります。目安として整理します。

【入院直後〜1週目】医療ソーシャルワーカーに会い、退院までの見通しを聞く。介護保険の要介護認定をまだ受けていなければ、この時点で申請します。すでに認定を受けている方でも、入院で状態が大きく変わったなら区分変更の申請を検討します。

【1〜2週目】候補を集めます。地域、費用の上限、医療的なケアへの対応可否の3つで絞り込むと早く進みます。ここで施設の種類ごとの違いを押さえておくと、候補を広げすぎずに済みます。

【2〜3週目】見学と申し込みです。ご本人が入院中で動けなくても、ご家族だけで見学できます。むしろ入院中のほうが、ご本人を連れ回さずに済む分、落ち着いて見られます。

【退院が決まったら】退院前カンファレンスです。病院の医師・看護師・リハビリ担当に加えて、かかりつけ医、訪問看護師、ケアマネジャーなど退院後に関わる人たちが集まり、退院後の医療とサービスの内容を共有します。ご家族も参加できます。ここで疑問を残さないことが、退院後のトラブルを一番減らします。

要介護認定は「30日で出る」と思わないでください

介護保険法では、要介護認定の結果は申請から30日以内に出すことが原則と定められています。ところが実態は違います。

厚生労働省の資料によると、2022年度下半期の全市町村平均は40.2日でした。30日以内を達成できていたのは、全1735市町村のうち97自治体、わずか5.6パーセントです。最も時間がかかっている市町村では78.7日でした。

つまり、退院までに認定結果が間に合わない可能性のほうが高い、と考えて動く必要があります。

ただし、結果を待たなければ何もできないわけではありません。認定を申請していれば、結果が出る前でも暫定のケアプランを作ってサービスを使い始めることができます。想定より軽い認定が出た場合に自己負担が増えるリスクはありますが、ケアマネジャーが見込みを立てて調整してくれます。申請日を早めることが、そのまま選択肢の広さになります。

病院から紹介された施設だけで決めなくて構いません

退院支援の窓口からは、たいてい何か所か施設を提示されます。これはとてもありがたいものですが、そこから選ばなければならないわけではありません。

病院が持っている候補は、これまでの連携実績があって、いま空きがあるところが中心になります。ご家族が通いやすいか、費用が続くか、ご本人の暮らし方に合うかという観点は、ご家族にしか判断できません。

紹介された施設は候補のひとつとして受け取りつつ、ご自身でも並行して探してください。「他も見てから決めたい」と伝えることは、まったく失礼にあたりません。むしろ退院支援の担当者にとっては、ご家族の希望がはっきりするぶん調整しやすくなります。

施設と決めつけず、自宅に戻る道も一度は検討してください

退院を言われるとどうしても施設に意識が向きますが、条件が整えば自宅に戻れる場合もあります。判断材料になるのは次の点です。

【動作】ベッドからの起き上がり、トイレ、入浴のうち、どこまで自分でできるか

【住まい】段差、手すり、浴室、寝る場所を1階に移せるか

【医療】退院後に必要な処置を訪問看護で担えるか

【担い手】日中の見守りを誰がどれだけ担えるか

福祉用具のレンタルと住宅改修、訪問介護・訪問看護を組み合わせると、思っていたより在宅が続く場合があります。逆に、これらを足しても夜間が持たないなら、施設のほうが本人にとっても安全です。どちらが正解ということはなく、退院前カンファレンスで率直に相談してください。

急がないほうがいい場合もあります

一方で、いま決めないほうがよい場面もあります。

区分変更の結果待ちで、認定が上がる見込みが高い場合。認定区分によって入れる施設も費用も変わるため、結果を見てからのほうが選択肢が広がります。

リハビリでまだ状態が上向いている場合。地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟に移れるなら、そこで数週間かけて状態を固めてから決めるほうが、ミスマッチが減ります。医療ソーシャルワーカーに「転棟や転院という選択肢はありますか」と聞いてみてください。

看取りが近く、医療体制が必要な場合。この場合は施設の種類そのものが変わってきます。

探している数週間、ご家族の時間が足りなくなります

入院中の施設探しがきついのは、期間が短いことに加えて、その間もご家族の手が要り続けることです。

洗濯物の入れ替え、面会、必要品の買い足し、病院での説明への同席。そこに見学と申し込みが重なります。仕事を持っている方には、平日の日中に動く用事が集中する形になります。

しかも介護保険の訪問介護は、この場面のほとんどをカバーできません。入院中の身の回りの世話、病院への付き添い、退院当日の移動の付き添いは、原則として介護保険の対象外です。

ここを埋められるのが、介護保険を使わない自費の介護サービスです。「退院までの3週間だけ」「見学に行く日の午前だけ」といった割り切った使い方ができ、ご家族が仕事を休めない日の付き添いを頼むこともできます。

※以下は広告を含みます。

自費の訪問介護・通院付きサービスなら【イチロウ】

まとめ

「そろそろ退院を」と言われたら、まず医療ソーシャルワーカーに会ってください。相談は無料で、退院までの見通しと選択肢がその場で見えます。

そのうえで、要介護認定は30日では出ないことを前提に、申請を最優先で済ませる。候補は病院からの紹介と並行してご自身でも集める。見学はご家族だけで進める。この3つで、限られた期間でも選べる状態を作れます。

急がないほうがよい場合があることも、頭の片隅に置いておいてください。転棟や区分変更で時間を稼げるなら、そのほうが良い結果になることは少なくありません。

よくある質問

Q. 医療ソーシャルワーカーへの相談は有料ですか。

A. 費用はかかりません。病院の職員として配置されており、ご家族が相談料を払うことはありません。相談室、地域連携室、患者支援センターなど病院によって窓口の名前が異なるので、まずは担当看護師に「退院後の相談をしたい」と伝えてください。

Q. 要介護認定の結果が出る前でも、施設に申し込めますか。

A. 施設によります。申請中でも受け付けるところと、認定結果が出てからというところがあります。ただし申請そのものは早いほど有利なので、迷ったらまず申請してください。申請中であれば暫定のケアプランでサービスを使い始めることもできます。

Q. 病院から紹介された施設を断ってもいいですか。

A. 問題ありません。紹介は候補の提示であって、決定ではありません。「他も見てから決めたい」と伝えれば、退院支援の担当者はそれを前提に調整してくれます。通いやすさや費用はご家族にしか判断できない部分です。

Q. 入院中に見学に行けますか。

A. ご家族だけで見学できます。ご本人が同行できなくても、居室、共用部分、職員体制、食事の様子は確認できます。入院中の状態を施設側に伝えたうえで、受け入れが可能かを聞いておくと、申し込みがスムーズです。

あわせて読みたい

特養・老健・サ高住・住宅型有料、結局どう違う?費用と入居条件を1枚の表で比較

老人ホーム見学、当日は何を見る?契約前に必ず確認したい12のこと

特養の申し込み、早く出せば早く入れる?入所順位が決まるしくみと待機中にできること

介護離職を防ぐ|介護休業93日の本当の使い方と、2025年から会社に義務づけられたこと

親を数日だけ預けたい|ショートステイの空きの探し方と、連続30日ルールで損をしないために

介護の相談、まずどこへ行けばいいのか|地域包括支援センターでできること・できないこと

身寄りがないまま施設に入るとき|元気なうちに決めておける5つのことと、成年後見制度の使いどころ

要介護認定、申請してから結果が出るまで|「30日以内」と聞いたのに1か月半かかる、が起きる理由

住まいブリッジでは、愛知県西三河地域と岐阜県の高齢者施設を、広告費の多さではなく条件から探せるようにしています。地域や施設種別から候補を絞り込んで、見学のご相談にお使いください。

※本記事の内容は2026年9月時点の一般的な情報です。退院支援の窓口の名称や体制、要介護認定にかかる期間、申請中の入居申し込みの取り扱いは、病院・市区町村・施設によって異なります。実際の手続きは、入院先の病院とお住まいの市区町村の窓口へ直接ご確認ください。

新着情報一覧へ戻る

同じテーマの記事

施設さがしのご相談はこちら(無料)

お住まいの地域から施設をさがす

ホーム新着情報施設さがし

病院から「そろそろ退院を」と言われたら|入院中に施設を決める手順と、退院支援の使い方