特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームについて

どの施設が合うかを、いくつかの質問で。施設タイプ診断はこちら

特別養護老人ホームとは

「特養(とくよう)」と略されます。介護保険法上は「介護老人福祉施設」といいます。

常に介護が必要で、自宅での生活がむずかしい方が入居する公的な施設です。社会福祉法人や自治体が運営しています。

民間の施設に比べて費用が大きく抑えられるのが最大の特徴です。所得に応じた負担軽減の制度もあります。終身にわたって暮らせる施設として、長く「最後の住まい」の中心にありました。

もうひとつ知っておいていただきたいのが、定員によって2つの種類があることです。広域型(定員30人以上)は都道府県の指定で、どの市町村にお住まいの方でも申し込めます。地域密着型(定員29人以下)は市町村の指定で、原則としてその市町村に住民票がある方だけが対象です。

同じ「特養」でも、隣の市の施設に申し込めるかどうかがここで変わります。探し始める前に、その施設がどちらなのかを見ておくと無駄足が減ります。

入居の条件

年齢/65歳以上(40〜64歳でも特定疾病による要介護なら対象)

要介護度/原則、要介護3以上

住民票/広域型=どこでも可、地域密着型=原則その市町村

入居時費用/0円

申し込み先/施設に直接(市町村の窓口ではありません)

同時申し込み/何か所でも可

要介護1・2でも入れる場合があります

「要介護3未満は無理」と受け取られがちですが、特例入所という仕組みがあります。認知症があり日常生活に支障をきたす症状が頻繁に見られる、知的障害・精神障害などがあり同様の状態にある、家族などによる深刻な虐待が疑われ心身の安全の確保が困難、単身世帯または同居家族が高齢・病弱で家族からの支援が期待できず地域の介護サービスも十分に受けられない。こうした事情があるときに、市町村が認めれば要介護1・2でも申し込めます。

判断は市町村と施設が行います。該当しそうなときは、あきらめる前にケアマネジャーか地域包括支援センターに相談してみてください。

こんな方に向いています

  • 要介護3以上で、常時の介護が必要な方

  • 費用をできるだけ抑えたい方

  • 終身にわたって同じ場所で暮らしたい方

  • 医療的なケアより、生活の介護が中心の方

特養が向かない場合

正直に書きます。特養がいちばんいい選択にならないこともあります。

すぐに入居先が必要な場合。申し込みから入居まで、月単位・年単位でかかることがあります。退院の期日が決まっていて行き先がない、といった状況では、特養だけを待つのは現実的ではありません。老健やショートステイ、有料老人ホームを併せて検討することになります。

常時の医療管理が必要な場合。たん吸引や経管栄養が一日に何度も必要、インスリン注射が欠かせない、といった状態では、看護師が日中中心の配置である特養は対応しきれないことがあります。介護医療院や、看護師が24時間いる介護付有料老人ホームのほうが合います。

まだ自立に近く、見守りがあれば暮らせる場合。特養は「常時の介護が必要な方」の施設です。要介護3に届かない段階なら、サービス付き高齢者向け住宅やケアハウス、あるいは在宅サービスを増やすほうが、暮らしの自由度は保てます。

個室にこだわりがある場合。多床室(相部屋)の施設も多くあります。個室が希望ならユニット型を選ぶことになりますが、その分だけ居住費は上がります。費用を抑えることと個室であることは、特養の中では両立しにくい面があります。

費用のめやす

入居時費用:0円

月額費用:8万円〜15万円台

入居一時金はかかりません。月額は居住費・食費・介護保険の自己負担分・日常生活費です。

多床室(相部屋)かユニット型個室かで金額が変わります。個室のほうが居住費が高くなります。

所得が低い方には負担限度額認定という制度があり、居住費と食費が軽減されます。お住まいの市町村の窓口でご相談ください。

1か月の費用は、実際いくらになるか

「8万〜15万」と幅で言われてもピンと来ない、というお声をよくいただきます。内訳に分けて見てみます。月額は、次の4つの足し算です。

【1】居住費(部屋代)/部屋のタイプで変わります。多床室がいちばん安く、ユニット型個室がいちばん高くなります。目安として、多床室で月2万円台、ユニット型個室で月6万円台です。

【2】食費/1日3食ぶん。目安は月4万円台です。入院などで食べなかった日があれば、その分は差し引かれるのが一般的です。

【3】介護保険の自己負担分/要介護度が上がるほど高くなります。1割負担の方で、要介護3なら月2万円台、要介護5なら月3万円弱が目安です。2割・3割負担の方は、ここが単純に2倍・3倍になります。加えて、その施設が算定している加算が乗ります。

【4】日常生活費/おむつ代、理美容代、日用品、レクリエーションの材料費など。おむつ代は施設によって扱いが違います。月5,000円〜1万円程度を見ておくと安心です。

大きく変わるのは「部屋のタイプ」と「所得」

同じ施設でも、多床室とユニット型個室では月に4万円近い差が出ます。年に直せば50万円近い差です。

そしてもうひとつが負担限度額認定です。住民税非課税世帯などの条件にあてはまる方は、居住費と食費に上限が設けられ、月に数万円下がります。所得と預貯金額に応じて段階が分かれ、段階が低いほど負担が軽くなります。

申請先はお住まいの市町村の介護保険担当窓口です。施設が代わりに申請してくれるわけではありません。入居が決まったら、いちばん先に確認していただきたい手続きです。

なお、2026年8月から食費と居住費の上限額が一部引き上げられました。以前に調べた金額と今の金額が違うことがありますので、必ず市町村の窓口で最新の額をご確認ください。

上記の金額はいずれも目安です。施設ごとに算定している加算が違うため、実際の額は施設が出す見積書でご確認ください。見学のときに「1か月の請求書のサンプルを見せてください」とお願いすると、いちばん確実です。

受けられるサービス

  • 食事の提供と、食事の介助

  • 入浴・排せつの介助

  • 機能訓練

  • 健康管理

  • 療養上の世話

  • レクリエーション、行事

知っておきたいこと

原則として要介護3以上が対象です。要介護1・2の方は、特例的に認められる場合を除いて入居できません。

待機期間が長くなりがちです。申し込んですぐ入れるとは限りません。地域や施設によっては、年単位でお待ちいただくこともあります。

申し込みの順番ではなく、必要度で決まります。早く申し込んだ人から入れるのではありません。要介護度、介護をする方の状況、在宅での生活の困難さなどを点数化して、必要度の高い方から入居が決まります。

特養でいちばん失敗しやすいのは、1か所だけに申し込んで順番を待ってしまうことです。複数の施設に申し込めますし、順番が来たときに断ることもできます。入居を考え始めたら、早めに複数申し込んでおくことをおすすめします。

医療的なケアには限りがあります。看護師の配置は日中が中心です。常時の医療管理が必要な場合は、介護医療院などのほうが合うことがあります。

長期入院で退所になることがあります。おおむね3か月を超える入院で、契約が終了する扱いになるのが一般的です。ただし運用は自治体・施設で違います。契約書のどこに書いてあるかを、入居前に確認しておいてください。

全国の申込者数は減ってきています。厚生労働省の調査では、要介護3以上の入所申込者は令和7年4月1日時点で約20.6万人。令和4年度の調査から約4.7万人減りました。「絶対に何年も待つ」という前提は、以前ほど当てはまらなくなっています。地域差が大きいので、実際のところはお住まいの地域の施設に聞いてみるのがいちばん確実です。

申し込みから入居までの流れ

特養は、有料老人ホームのように「見学して気に入ったら契約」とはいきません。順番を追って見ていきます。

【1】要介護認定を受ける(まだの場合)

原則、要介護3以上が対象です。認定がまだなら、お住まいの市町村の窓口か地域包括支援センターで申請します。申請から結果が出るまで、原則30日以内とされていますが、実際にはもう少しかかる自治体もあります。

【2】施設を探して、申し込み先を決める

申し込みは施設に直接行います。市町村の窓口でまとめて受け付けるわけではありません(自治体によっては統一の申込書がある地域もあります)。このとき、広域型か地域密着型かを確認してください。地域密着型は、原則その市町村に住民票がある方に限られます。

【3】申込書を出す

申込書に加えて、主治医の意見書や診断書、介護保険証の写しなどを求められることが多いです。施設ごとに様式が違うため、複数申し込むならその数だけ書類を用意することになります。複数の施設に同時に申し込めます。1か所に絞る必要はありません。

【4】待機

ここがいちばん長くなります。申し込んだ順番ではなく、必要度の高い方から入居が決まります。要介護度、認知症の状況、介護をするご家族の状況、在宅での生活の困難さなどを点数化した「入所指針」にもとづいて、施設の入所判定委員会が順位を決めます。

状況が変わったら、その都度施設に伝えてください。介護をしていたご家族が入院した、ひとり暮らしになった、といった変化は点数に反映されます。伝えないままだと、申し込んだ当時の情報で判断され続けます。

【5】順番が来たら連絡が入る

「空きが出ました」と連絡が来ます。返事の期限は数日ということも多いので、そのときどうするかを、ご家族の間で先に話し合っておくと慌てません。

【6】面談・入所判定

施設の相談員や看護師が、ご本人の状態を確認します。病院や自宅へ来ていただくこともあります。ここで医療的ケアの対応可否が確認されます。

【7】契約・入居

契約書と重要事項説明書を確認して契約します。このとき負担限度額認定証があれば必ず提出してください。入居後に申請すると、申請月からの適用になり、さかのぼれないことがあります。

西三河・岐阜で特養をさがすとき

隣の市にも申し込めますか

広域型(定員30人以上)なら申し込めます。岡崎市にお住まいの方が安城市の特養に申し込む、多治見市の方が土岐市の特養に申し込む、といったことは可能です。

地域密着型(定員29人以下)は原則できません。その市町村に住民票がある方に限られます。ただし、市町村どうしの協議と同意があれば区域外の方が利用できる場合もあります。希望する施設が地域密着型だった場合は、両方の市町村に確認してみてください。

住所地特例という仕組み

ご家族の近くへ移りたい、という理由で他の市町村の特養に入る場合、介護保険は引っ越し前の市町村が引き続き担当します。これを住所地特例といいます。対象は定員30人以上の特養・老健・介護医療院・特定施設です。地域密着型は対象外です。

この仕組みがあるおかげで、施設のある市町村に介護費用の負担が集中しません。ご本人にとっては、負担限度額認定の申請先が引っ越し前の市町村のままになる、という実務上の違いが出ます。

地域の相談先

どこから手をつければいいか分からないときは、地域包括支援センター(介護の相談をまとめて受けてくれる、市町村の窓口です)が入口です。担当は施設の場所ではなく、ご本人の住所で決まります。

他の施設との違い

介護老人保健施設(老健)との違い

特養は終身で暮らす生活の場、老健は在宅復帰を目指す施設で入所期間は原則3〜6か月です。月額は特養が8万〜15万円台、老健が8万〜17万円台。老健のほうが比較的入りやすい傾向にあります。

介護付有料老人ホームとの違い

どちらも終身で暮らせる生活の場ですが、特養は原則要介護3以上で待機が長く、月額8万〜15万円台。介護付は要介護1から入居でき比較的入りやすい一方、月額は15万〜30万円台です。

よくある質問

Q. 申し込んでから、どのくらい待ちますか

地域と施設によって大きく違うため、一律には言えません。数か月の施設もあれば、年単位の施設もあります。

ひとつ確かなのは、申し込みの順番では決まらないということです。必要度が高いと判断されれば、後から申し込んだ方が先に入ることもあります。逆に、在宅で何とか暮らせている状態だと、順番はなかなか回ってきません。

まずは希望する施設に「今どのくらいの方が待っていますか」と直接聞いてみてください。教えてくれる施設がほとんどです。

Q. 認知症がありますが、入れますか

要介護3以上であれば、認知症があること自体は問題になりません。むしろ入所判定では、認知症による生活の困難さは必要度が高いと評価される方向に働きます。

ただし、他の入居者への暴力や、常時の見守りが必要な徘徊がある場合は、施設側が対応の可否を判断します。面談のときに、ありのままを伝えてください。隠して入居すると、あとで退去の話になりかねません。

認知症が中心で、まだ身の回りのことがある程度できる方であれば、グループホームのほうが合うこともあります。

Q. 年金だけで払えますか

負担限度額認定を受けられるかどうかで大きく変わります。

住民税非課税世帯で多床室を選んだ場合、月額が5万〜8万円程度に収まることもあります。一方、認定を受けられずユニット型個室を選ぶと、15万円前後になります。

まずお住まいの市町村の窓口で、負担限度額認定の対象になるかを確認してください。預貯金額の要件もあるため、窓口で試算してもらうのがいちばん早いです。

Q. 入居したあと、退去になることはありますか

あります。主なものは3つです。長期の入院(おおむね3か月を超えると契約終了になるのが一般的です。運用は自治体・施設で違います)、医療的ケアがその施設の対応範囲を超えたとき、他の入居者の安全が守れないと判断されたときです。

いずれも、契約書の「契約の終了」の条項に書いてあります。入居前に、その部分を声に出して読んでもらうくらいの気持ちで確認しておくと安心です。

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