お金のこと

2026.10.06

施設の費用は医療費控除の対象になるのか|特養は2分の1、老健は全額、有料老人ホームは?

「父の施設の領収書、1年分を捨ててしまいました」。

確定申告の時期に、そう肩を落とされたご家族がいました。

施設の費用は医療費控除と関係ないと、なんとなく思い込んでいたそうです。

実は、施設の種類によっては、月々の費用のかなりの部分が対象になります。

一方で、どれだけ払っても対象にならない施設もあります。この違いが分かりにくいのだと思います。

年末が近づくこの時期に一度整理しておくと、領収書の集め方が変わります。

今日は、施設の費用と医療費控除の関係を、施設の種類ごとに見ていきます。

そもそも医療費控除とは

医療費控除は、1年間(1月〜12月)に払った医療費が一定額を超えたとき、所得税が軽くなるしくみです。

目安は、年間10万円を超えた部分です。

所得の合計が200万円未満の方は、所得の5%を超えた部分が対象になります。

ポイントは、生計を一にする家族の分をまとめて申告できることです。

親の施設代を子どもが払っていて、生計を一にしている場合は、子どもの申告に含められることがあります。

誰が申告すると有利かは、それぞれの所得によって変わります。

特養は「自己負担の2分の1」が対象

特別養護老人ホーム(特養)は、介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1が対象です。

地域密着型の小規模な特養も同じ扱いです。

たとえば、自己負担が月10万円なら、その半分の5万円が対象になる計算です。

1年で60万円。これだけで10万円の基準を大きく超えます。

特養の費用は、介護と生活の両方が混ざっているため、半分という扱いになっています。

老健・介護医療院は「全額」が対象

介護老人保健施設(老健)と介護医療院は、介護費・食費・居住費の自己負担額の全額が対象です。

どちらも、医療や機能訓練を中心にした施設という位置づけだからです。

特養と比べると、同じ金額を払っていても控除の対象は倍になります。

老健に数か月入所した年は、申告するかどうか、一度計算してみる価値があると思います。

なお、どちらの施設でも、理美容代や日用品費、特別なサービスの費用は対象外です。

有料老人ホーム・サ高住は、原則として対象外

ここがいちばん誤解されやすいところです。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の家賃・食費・管理費は、医療費控除の対象になりません。

介護付き有料老人ホームの介護サービス費(特定施設入居者生活介護)も、対象外とされています。

ただし、住宅型有料老人ホームやサ高住で、外から来る訪問看護などを使っている場合は話が別です。

訪問看護や訪問リハビリなど医療系のサービスは、対象になります。

医療系のサービスと同じ月のケアプランに入っている訪問介護やデイサービスも、対象になることがあります(生活援助が中心の訪問介護は除きます)。

この判断は、ケアプランと事業所の領収書の記載で決まります。

ショートステイやグループホームはどうなるか

ショートステイのうち、特養などで受ける短期入所生活介護は、医療系サービスと併せて使う場合に対象になります。

老健などで受ける短期入所療養介護は、それだけで対象になる医療系のサービスです。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の費用は、対象外です。

同じ「泊まり」でも、どの施設で受けたかで扱いが変わるのが、ややこしいところだと思います。

おむつ代と、通院の交通費

施設で使うおむつ代も、条件がそろえば医療費控除の対象になります。

医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要です。

2年目以降は、市町村が発行する確認書で代わりにできる場合もあります。

また、通院のために使ったバスや電車の運賃も、医療費控除の対象になります。

面会のための交通費は対象になりませんので、通院の分だけ記録を残しておくと集計しやすいです。

施設の領収書で見るところ

特養や老健の領収書には、医療費控除の対象額が書かれていることが多いです。

国税庁も、施設に対象額を分かるように記載するよう求めています。

確認したいのは、次の3つです。

【1】「医療費控除対象額」の欄があるか

【2】高額介護サービス費の払い戻しを受けた月があるか(その分は差し引きます)

【3】領収書の宛名が誰になっているか

見当たらないときは、施設の事務の方に年間分の証明を出してもらえるか聞いてみてください。

まとめ

施設の費用でも、特養は自己負担の2分の1、老健と介護医療院は全額が医療費控除の対象です。

有料老人ホームやサ高住の家賃・食費・管理費は対象外ですが、外から来る訪問看護などは対象になります。

生計を一にする家族の分はまとめられるので、誰が申告するかで結果が変わることもあります。

まずは今年の領収書がどこにあるか、一度確かめてみませんか。

よくある質問

Q. 親と別々に暮らしていても、親の施設代を自分の医療費控除に入れられますか。

A. 生計を一にしているかどうかで判断されます。別居でも、仕送りで生活費をまかなっているなど、常に生活費の送金がある場合は認められることがあります。判断に迷うときは税務署に確認してください。

Q. 去年の分を申告し忘れました。今からでも間に合いますか。

A. 医療費控除は、5年以内であれば還付申告ができます。領収書が残っていれば、さかのぼって申告できる場合があります。

Q. 有料老人ホームで受けた訪問診療の費用は対象になりますか。

A. 医師による診療の費用は、施設の種類にかかわらず通常の医療費として対象になります。施設の利用料とは別の領収書になっていることが多いので、分けて保管しておくと便利です。

Q. 年末調整をしている会社員でも、医療費控除は受けられますか。

A. 医療費控除は年末調整では受けられないため、別に確定申告が必要です。e-Taxを使うと、領収書の提出の代わりに明細書を作成する形で申告できます。

あわせて読みたい

「施設の費用が払えない」を防ぐ4つの公的制度|負担限度額認定・高額介護サービス費のしくみと申請方法

「月額15万円〜」には、何が入っていないのか|施設の費用を、ひとつずつ

入居した後に「お金が続かない」と気づいたとき|施設を替える前に確かめたい5つのこと

住まいブリッジでは、愛知県西三河と岐阜県の高齢者施設を、掲載料で順位が変わらない形でご紹介しています。おすすめ順や人気順はつくりません。ご相談はお問い合わせからどうぞ。

※本記事は2026年10月時点の国税庁の公表資料(タックスアンサーNo.1125・No.1127、おむつに係る費用の医療費控除の取扱い)をもとに書いています。個別の事情によって扱いが変わることがありますので、実際の申告は税務署または税理士にご確認ください。住まいブリッジは税務の専門家ではありません。

新着情報一覧へ戻る

同じテーマの記事

施設さがしのご相談はこちら(無料)

お住まいの地域から施設をさがす

ホーム新着情報お金のこと

施設の費用は医療費控除の対象になるのか|特養は2分の1、老健は全額、有料老人ホームは?