お金のこと
「月額15万円〜」には、何が入っていないのか|施設の費用を、ひとつずつ

パンフレットに「月額15万円〜」と書いてある。
年金と貯金で、なんとかなりそうだ。
そう思って入居されて、3か月目の請求書を見て青くなる。
この話を、私は何度も聞いてきました。
パンフレットの金額が嘘だったわけではありません。あの「〜」から始まる数字は、たいていいちばん安い場合のものです。
いちばん安い部屋で、いちばん介護度が軽くて、医療費もかからなくて、おむつも使わない場合。
実際には、そこにいくつも積み上がります。
何が積み上がるのかを、順番に書いていきます。
毎月かかるもの
まず、毎月必ず出ていくものです。

【1】家賃・居住費
お部屋の広さと立地で変わります。同じ施設でも、1階と3階、南向きと北向きで金額が違うことがあります。
【2】管理費・運営費
共用部分の光熱費や事務費です。名前は施設によって違います。
【3】食費
1日3食で計算されているのが普通です。
ここで一度、聞いておいてください。食べなかった日の扱いです。
入院した日、外泊した日の食費がどうなるかは、施設ごとにまったく違います。日割りで引いてくれるところもあれば、丸ごとかかるところもあります。
【4】介護保険の自己負担
介護度と所得によって、1割から3割です。
ここが、施設の種類によって性質がちがいます。あとで詳しく書きます。
【5】おむつ代
月に数千円から1万円台になることがあります。
特別養護老人ホームなどでは費用に含まれていることがあります。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、別に請求されるのが一般的です。
見落としやすいところです。
【6】医療費・お薬代
受診のたびにかかります。
そして、通院の付き添いが有料の施設があります。1回いくら、という形です。月に何度も通院がある方は、ここが積み上がります。
【7】その他
理美容、日用品、レクリエーションの材料費、居室の電気代の個別請求など。
こまごまとしていますが、合わせると意外な額になります。
介護保険の自己負担は、施設の種類で増え方が違います
ここは知っておいていただきたいところです。
介護付有料老人ホームや特別養護老人ホームは、介護の分が定額です。介護度が上がれば金額も上がりますが、月ごとに決まった額です。
一方、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、使った分だけかかります。
住まいを借りて、介護は外部の事業所から受ける形だからです。訪問介護を1日3回使えば3回分、5回使えば5回分。
つまり、入居した時点では安く見えても、介護が必要になるにつれて増えていきます。
パンフレットの月額が安いのは、たいていこちらの型です。安いことが悪いのではありません。増え方の形が違うということを、先に知っておいてください。
入居のときにかかるもの
0円のところから、まとまった一時金が必要なところまであります。
一時金がある場合は、必ず2つ聞いてください。
何年で償却されるのか。途中で退去したら、いくら返ってくるのか。
短期間で退去することになったときに、ここを知らないと揉めます。
いちばん実際に近い金額を知る、聞き方があります
見学のときに、この一言を使ってみてください。
「いま入っておられる要介護3くらいの方の、先月の請求書の合計はいくらでしたか」
パンフレットの数字ではなく、実際に請求された金額を聞く。
これを聞くと、はっきりします。パンフレットの月額と2万円から5万円ちがうことは、珍しくありません。
答えにくそうにされる場合もあります。それも一つの情報です。
負担を軽くする制度が、3つあります
知らないまま払っておられる方が、かなりおられます。
【1】負担限度額認定
食費と居住費が下がります。
ただし、対象になるのは特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院、そしてショートステイです。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームは対象になりません。
所得と預貯金の要件があります。市町の窓口で申請します。
【2】高額介護サービス費
1か月に払った介護保険の自己負担に、上限があります。超えた分は、あとから戻ってきます。
【3】高額医療・高額介護合算療養費制度
1年間の医療費と介護費の合計に、上限があります。医療費が多い方には効きます。
いずれも、お住まいの市町の介護保険担当窓口か、地域包括支援センターでご相談いただけます。
要件と申請のしかたは「施設の費用が払えない」を防ぐ4つの公的制度|負担限度額認定・高額介護サービス費のしくみと申請方法に詳しくまとめています。
制度の内容や金額の区分は改定されることがあります。必ず窓口でご確認ください。
予算は、施設を見る前に決めてください
順番の話をします。
施設を先に見てしまうと、良いところを見つけたときに予算のほうを動かしてしまいます。
そうではなく、先に決める。
ご本人の年金と貯金で、毎月いくらまでなら続けられるか。
ご家族が補うなら、いくらまでか。
そしてもうひとつ、いちばん大事な問いがあります。
その金額を、何年払い続けられますか。
貯金を取り崩す前提であれば、何年で尽きるのかを計算してください。90歳で入って、95歳で貯金が尽きる。そのときにどうするか。
つらい計算ですが、先にやっておくほうが、はるかに楽です。
まとめ
【1】パンフレットの「月額◯万円〜」は、いちばん安い場合の数字
【2】そこに、介護保険の自己負担・おむつ代・医療費・日用品が積み上がる
【3】住宅型とサ高住は、介護を使った分だけ増える
【4】食べなかった日の食費、通院の付き添い料は、施設ごとに違う
【5】「先月の請求書の合計はいくらでしたか」と聞くと、実際の金額が分かる
【6】負担限度額認定・高額介護サービス費・高額医療高額介護合算。この3つは窓口で確認
【7】予算は施設を見る前に決める。そして「何年払えるか」まで計算する
お金の話は、いちばん聞きにくいところです。
ただ、ここを曖昧にしたまま決めると、あとで住まいを変えることになります。ご本人にとって、それがいちばんつらいことだと思います。
よくあるご質問
Q. 年金だけで入れる施設はありますか。
A. 特別養護老人ホームやケアハウスは比較的費用が抑えられます。負担限度額認定が使えれば、さらに下がります。ただし特養は待機期間があることが多いので、早めに申し込んでおかれるとよいと思います。
Q. 費用が払えなくなったら、すぐに退去ですか。
A. すぐにということはあまりありません。ただ、滞納が続けば契約解除の対象になります。難しくなりそうな段階で、早めに施設と市町の窓口にご相談ください。制度で下げられる部分が残っていることがあります。
Q. 途中で費用が上がることはありますか。
A. あります。介護度が上がったとき、医療的なケアが増えたとき、そして施設側の値上げです。見学のときに「どういうときに金額が変わりますか」と聞いておいてください。
Q. 家族が費用を負担する場合、扶養や税金で気をつけることはありますか。
A. 医療費控除の対象になる費用が含まれていることがあります。施設が発行する領収書に内訳が書かれていますので、確定申告の際にご確認ください。詳しくは税務署か税理士にご相談ください。
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※ 費用の項目や金額は、施設の種類・地域・介護度によって大きく変わります。制度の内容も改定されることがあります。実際の金額は必ず各施設に、制度についてはお住まいの市町の窓口にご確認ください。
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